社会から逸脱するという恐怖、イジメられるという恐怖

私は女性週刊誌は絶対読まないが、新聞に掲載された女性誌の見出し広告は目を皿のようにして読んでしまう。 



その中で、最近考えさせられたのが、「同性に嫌われる女性トップ10、あの人のここがイヤ!」というのがあった。「頭が悪い」や「いい子ぶりっこ」「迷惑女」など、好き放題書かれているが、どの人も、そんな評価にたじろぎもしないタイプばかりだったので、ちょっと痛快だった。

ああいう記事を読んで私達女性は、「ああはなりたくない」と思い、何とか皆から浮かない好かれる人になりたいと思うのだ。

「皆に好感を持たれる公園デビュー時の服装」

なんてテレビでやってる時代だ。発想の中心は、自分がどうしたい、どう生きたい、ではなく、どう他人の目に映っているか、という事だ。そんなママゴン達の社会周辺で生活している子供達に、イジメがないはずがない。

そう考えていくと、同性に嫌われる女性10人、というのは全て自分に正直に生きている人だと思えてくる。別に人に迷惑かけているわけではなく、強くたくましく自己表現しながら生きていっている。私には、とても好ましく映るのだ。

例えば、神田うのさん。彼女の事を「頭が悪すぎる」などと笑う人は多いが、私はそうは思わない。彼女は「知っててそう振舞っているだけの賢い人」なのだ。自分でそう思っているから、なんと評価されようと平気なのだ。以前、ワイドショーで、弁護士女史連中を相手に「日本における男女差別について」の持論をぶちかましていたのが印象的だった。彼女は自分のフィルターを通して、まぎれもない自分の言葉で意見を言っていた。「ちょっと、よくわからないので...」というと良家の子女風で恰好つくかもしれないが、彼女はそういう「逃げ」をしない。「でもね、ウノはそう思うんだもん。」という彼女の気迫に、インテリ女史達はタジタジだった。

さて、いじめによる自殺の多発する昨今、神田うのは自殺していたであろうか。しないのだ。ああいうタイプは大丈夫なのだ。「いじめを無くせ!」「教育制度を改革しろ」「父性の欠如」などなど、いじめによる自殺はいろんな側面から語られるが、なぜ、死んでしまう子とそうでない子が出てくるのかが、私の一番の関心事だったのだ。

ところで、最近の自殺してしまう子供達には、ある共通項が見付けられたので書いてみようと思う。いつもながら独断と偏見モード。

1)どこまでも優しい母親に真面目な父親

私が中学に入ってすぐの時だった。お向かいの団地に住んでいた同級生の男の子が、ベランダで首を吊って自殺してしまった。あの時のショックは忘れられない。小学校時代、何度となく同じクラスになったクラスメートだった。だが、小学生の時から、彼に対して不安を感じていたのだ。イジメはあった。クラス全員で、という事はなかったが、いつでも泣かされていた子だった。とても優しすぎてピュアだった。とてもとても、この世の中で生きていけそうもない位、優しい子だったのだ。そして彼のお母さんも又どうしようもなく優しい人だったのだ。テレビに映る親御さんを見る度に、そのお母さんの姿がダブッて見えてしまうのだ。そして自殺してしまった子供の母親は、みんなそんな弱々しい優しさを持っているように思えて仕方がないのだ。もっと、怒りを正直に表せばいいのに「ウラミツラミ」さえも言えないのだ。人の悪口なんて一度も言ったことがないのでは?と思う程だ。

私の母が、人の悪口なんて全く言わない弱々しい人だったら、と考えてみた。すると、とても辛いのだ。そんな母の前で自分が悪口を言うと、とてつもなく大きな罪悪を感じてしまうのだ。自分はなんて汚い人間なんだ、なんて思ってしまう。ところが私の母は違った。私が時々、友達の愚痴を言う。○○チャンは、こんな事をしてサイテーだった、とか涙ながらに訴えるのだ。そうすると、決まってうちの母は、「そうよね。○○チャンはママも嫌い。そんな事許せない」などと彼女の悪口を一緒になって言い出すのだ。とてつもなく優しい(だけ)の母親の前では、絶対悪い子にはなれないのだ。ほんの少しの事で、自分が最低の人間に思えてきてしまうのだ。

2)自分が死ねば解決する、という自己欺瞞と原因自己帰結癖

子供達の遺書の中で目立つ言葉だ。「全て僕が悪いんだ。僕が死ねばすむことだから」たかが中学生の子が、自分さえいなかったら解決するなんて言葉を吐くのだ。子供らしくもっとワガママでいたらいいのに、気色悪い中学生だ、なんて思う人もいるかも知れない。だが、だから中学生なのだ。そういう時期なのだ。私も何か辛い事があると、だんだん自分が最低の人間の様に思えてきて、どんどんつきつめていくと、自分が不必要な人間の様に思えてくるときがあった。これは自意識過剰の裏返し、だと気付くのに数年かかったのだが、彼らにも言えることではないかと思う。憎むべき人間のために、自分の人生を変えるなんて全くバカバカしい事なのだ、なんて大声で言ってあげたいのだが、きっとその声は届かない。

3)「イジメ」の加害者を名指しで復讐。最初で最後の自己表現

自分が死ねば済む、と言いながら、加害者は必ず実名をあげている。イジメの内容を詳細に記録している子もいた。本当に原因自己帰結癖があるならば、名指しで非難の遺書など書くはずはない。「怨み」なのだ。ここで重要な事は、生きていては一生この「怨み」を言えない、という事なのだ。

4)「いじめられている」と言えない親子関係

「なんで親に言わないのか」という疑問はつきない。きっと親子関係に問題があるだろう、なんて推測するのは勝手だが、そうとも言えないのだ。以前、大島渚監督がテレビの中で言っていた言葉が、彼らの言い分を代弁してくれたように思う。「子供はね、特に男の子は、自分が学校でいじめられているなんて事を、親に絶対知られたくないものなんですよ。僕もそうだった。」この言葉を思い出す度、涙が溢れて仕方がないのだ。

5)「自分の今の悩みが一番辛い」

「そんな程度の事で死ぬなんて!世界にはもっと辛い生活で我慢している人が沢山いるのに!」そう言って嘆く人は多い。しかし、考えてもらいたい。私にとって、貴方にとって一番辛い事は、遠い国に住んでいる名前も知らない人が病気になっている、という事よりも、「自分の」そして、「昨日」や「明日」ではない、今日現在の悩みが一番辛いのである。その悩みがクリアできない限り、明日なんて絶対やってこないのだ。そしてその渦中にいる時は、その悩みが未来永劫続いてしまうような錯覚に陥ってしまうのだ。一端、その場を「逃げる」という事も賢い選択だ、なんて中学生の時には考えつかなかった。彼らだって同じだと思う。

6)金銭が絡むいじめ

いじめの内容に金銭が絡むようになった。それもどんどん金額が増えていく。これは、自分だけで絶対処理しきれない問題だ。時機を逸すると、絶対、親に打ち明けることはできなくなってくる。恐喝なんて立派な犯罪だ。しかし、被害にあってしまう彼らには、「最初の一回を許してしまった」という自分側の非がずっとついてまわる。

7)社会から逸脱するという恐怖

友達が欲しかった。そのために万引きした物をプレゼントしていた、なんて女の子もいた。そんなに徒党を組みたいのだろうか。学生時代の友達というのは、クラス替えと共に変わっていくようなものだ。たかが一年程度のつきあいだ。しかし、クラスというのは子供達にとっての立派な社会であり、その中から浮いてしまう、という事は絶対避けたい事なのだ。「出る杭は打たれる」のだ。学校で浮いてしまうような事があれば、もっと厳しいはずの実社会で逸脱するのは必至、そう考えているようだ。そして、一度、逃げ出したり、自分の学歴などに傷がついたと感じれば、それは一生、巻き返すことができないと思い込んでいる。どうしてだろうか。パパは不況の今でも必死に会社にかじりついている。それも有名大学を出てこのザマだ。大学入試に失敗するような事があれば、もう普通の人生は歩めないと思っている。

私は、受かった大学に入るか、浪人するか、と考えた事があったが、浪人の割合が5割程いたにも関わらず、1年の遅れが気になって浪人できなかった。今でこそ、「長い人生、そんなに急いで...」という心境になっているが、当時の私には、そんな余裕はなかった。

8)「親の悲しむ顔を見たくない」より「死んで得られる自由」が欲しい

「親に先立つ不孝者」などという言葉がある。私はこれ以上に子供に求める事はない。

子供の立場の時は「私が死んだら、親は悲しむだろうな」という感情はあったが、心の底では「でも1年位たったら、バラエティー番組にバカ笑いしてそうだし」などと思っていた。

でも、自分の子供を持って初めてわかった。本当にわかった。親は、子供が考えているよりも、いやその100倍か1000倍か、想像もできない位の愛情で、子供の成長を願っているものだ。これは、子供に言っても絶対分からないと思う。愛情の押しつけは最低だが、時々「私は貴方の事をこんなに大事に思っている」と匂わすような行動を親はとる必要があると思うのだ。黙っていてもわかってくれる、というのは親側の言い分で、「そんなの言ってくれなきゃわからない!」というのが子供の言い分だと思う。

長々と書いてしまったが、うちの子供には、「万人に好かれる平均的な人」よりも、一部の間で熱烈なファンがいる様な「神田うの」になって欲しいと思っている

人の評価なんてフンとはねのける強さは、どこで出来るのか。きっと、それは私自身がそうなって初めて、子供達が学んでいってくれるのだろう。子育てとは、大いなる自分改造計画なのだ。
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