eBook黎明期

私が大学生の頃、資料を探すときの私の行動は、あの膨大な紙で保存された図書データを一枚ずつめくることだった。




それは図書館の一角にあって、私は毎日毎日、その巨大な薬箱の様な引き出しを出しては入れ、移動しては出して、ということを繰り返していた。  

その後、インターネットが普及して、図書館のデータ管理も飛躍的に進歩したことだろう。現在、大学の図書館にアクセスすると、ジャーナルのほとんどをPDFなどのファイル形式で読むことができるようになっている。サマリーの検索も自由自在。情報収集のスピードも飛躍的に上がった。インターネットが世の中に与えた最も大きなインパクトは、その「検索性」に違いない。

日本ではそれほどドラマeィックに取り上げられていないのかもしれないが、いま英語のサイトで「eBook」と検索をかけると、膨大なサイト数が表示される。一時、ネコも杓子もネットショップという時代があったが、今はさしずめ、石を投げたらBlogとeBookにあたる、という時代なのかもしれない。とにかく、初期投資が必要なく、一旦デジタルな書籍を作成したら、(もしその内容が多くの読者に受け入れられるならば)半i久的に収入をもたらす可能性がある、という点が、多くのヒトを惹きつけているのだろう。でも日本では、既存書籍のデジタル化に重点がおかれていて、eBookそのもののコンセプト(最初からデジタル書籍としての特徴を最大限に利用)から生まれたデジタル書籍というのは、英語の世界で見られるブースト状態には至っていないであろう。

現在、友人の執筆したSAP関連のデジタル書籍の日本語化にとりかかっている。そしてそのデジタル書籍を前に、その可能性について興奮しないではいられないのだ。特にIT関連の書籍には、これからは絶対にこのeBookスタイルが主流になると思う。何故かというと、文書内にハイパーリンクを埋め込むことができるため、より詳細な情報が(任意の人にとって)必要と思われる場合、その書籍内のブルーの文字をワンクリックするだけでブラウザーが立ち上がり、ウェブのサイトを参照することができる。これは何も既存サイトへのリンクのみならず、著者がもっと詳細に伝えたかったもの、又は情報が頻繁に変更、更新されるものなどを、サポートページの様なサイトを作成することで、一種購入後の「読者サポート」というものが実現できるのである。(実際、この著者は、その点に気づき、既にサポートページを設けて、読者とのコミュニケーションをはかることに成功している。そのコミュニケーションの中から、新たな商機を見い出しているということは改めて言うまでもないことだろう)。

次にその検索性である。特にテクニカルな書籍では、最初から順番に読み進めることよりも、必要なときに、「あのページが参考になったな」と思いなおしてページを再度めくる、ということがよくある。しかしそれがデジタルであれば、検索はお手のものである。

紙での出版では非常にコストのかかるカラーでの表現にも、何の制限も受けない。版の更新も頻繁に行える。出版にかかるコストが少ないため、書籍自体の価格も低くおさえることができる。そして著者が受け取るべき印税(出版社から著者へ支払われるべき報酬)も、そのeBookをどの経路でウェブにのせるかによって変わるのであるが、もし自分自身のサイトで出版を試みれば、そのほとんどを著者が受け取ることも夢ではない。少なくとも、素人が紙での出版を試みることを考えれば、eBookというのは充分にメリットのある選択だと言えるだろう。
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