子育てを科学する – I

壮大なタイトルを書いてしまう。

現在またまたパートタイムで学んでいるのは「知識管理」なるものであるが、その中で色々と考えて来たことを、子育てのメカニズムに適用してみるとどうなるのか、子育てというのはアートの部分が多く、そこにサイエンスがどこまで迫れるのか、それが今回のエントリーのチャレンジである。

まず何故私が知識管理を勉強しているかというと、最初のモチベーションは「IT技術情報の集積」にあった。で、その技術情報というのは、時には暗黙知(tacit knowledge)と呼ばれるもの(明文化されていない、または明文化できない経験則的なもの)もあり、そういうものを含めての「知識の管理」とその問題点を学ぶというところにあったのである。元々は「暗黙知」を「形式知(explicit knowledge)―明文化された知識」に変換する具体的な方法論などがあれば、それを手っ取り早く習得したいと、そういう狙いもあった。

勉強を始めてみると、「日本人の発想」みたいな部分にどうしても目がいってしまうようになった。実はもともと「知識管理」なる概念は、日本発(野中郁次郎氏が日本的経営の強みを欧米に紹介したのが発端)で、それが欧米でブレークして、現在では日本はこの分野では大きく遅れをとっている。「ビジネス現場における(良い意味での)日本特有の何か」の存在、そしてトヨタのカイゼンなどの経営手法が、なぜ現場の津々浦々まで浸透できたのか、それらを説明するのに、この知識管理という概念が使えないか、現在模索しているところなのである。

「日本人特有の」ということを少し考えてみる。

行間を読む
空気を読む
さじ加減
塩梅

これらの言葉は日本人が好んで使う言葉であるが、これらを明確に定義することはかなり難しいであろう。

例えば、「その場の空気を読んで行動しろ」という言葉を考えてみる。もちろんこれは「状況に応じて判断をし、周囲の誰もが納得し得る行動をとる」ということに他ならない。でも、その状況に応じての好ましいリアクションを考えてみた時に(ある1シーンを切り取って、その状況を例にあげてみても)、「空気を読むのが非常にうまい人」が、そのアクションをとるまでのメカニズムを科学的に分析して、しかもその手法を明文化して残そうとした時に、それがどれほど難しいことか、というのは容易に理解できるだろう。

そこで、子供を育てる母親として、子供に対して私自身がとるアクションを考えてみた時に、それぞれの子供によって対応が違い、それはもう各種各様の状況に応じた「さじ加減」が勝負と思ったりするのである。それを何とか形式知に変換できないかと頭をひねってみたのだが、もう想像を絶する様な情報量であろうと思ってしまうのだ。

例えば子育てハウツー本と言われるものは、その想像を絶する情報量の中の、ほんの一部を紹介したにすぎないのだな、と最近つくづく感じるのである。

例えば、思春期に異常行動を起こす子供に対して、親は「全てを受け入れること」をカウンセラーから指導されたとしよう。このアドバイスがうまくいかない場合がある。何故か。

「全てを受け入れる」という情報が、全てを伝えていないからだと私は思う。

子供がやりたいこと、欲求を全て受け入れる。

子供が誰かを殺したいと言いました。
お店のものを盗みました。
俺のために1億円用意しろと叫びました。
あの女とヤラセロと言い、それを止めませんでした。

「全てを受け入れる」ことの中にも、さじ加減があり、暗黙知を必要とされるのだ。
さじ加減の中には、その時の子供の状況や、親側の心理や、親子関係や、家庭内の事情、他の兄弟との関係、もうありとあらゆる因子が絡み合っていて、それを前提にした上での好ましい「受容」であって、そこまでカウンセラーの先生は、相談に来る親御さんに伝えられるわけではないのである。

「地頭の良さ」というものは、この「暗黙知」の宝庫みたいなもので、昔であれば、その「暗黙知」は比較的うまく伝承されていたのではないかと思う。ところが、例えば子育てのように、従来アートとして扱われるような部分にまで、形式知(明文化されたマニュアル類など)が重要視されるようになり、膨大な暗黙知が放置された形になっているのが現代なのではないかとも思う。

これらの暗黙知の伝承をどうするか。

過去の日本のように、前後左右の人間関係が濃く、伝承の機会がとてつもなく多かった以前のような関係に戻してみる、というのが一つの方法。暗黙知を、人から人へ伝えるという方法である。

もう過去へは戻れないだろう。
そこで、暗黙知をできるだけ形式知に変換する、というチャレンジが考えられる。

ということで、私のチャレンジが続く。

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