韓流とは何か – II

再考してみたい。

前回、韓流とは「中高年向けのサービスを提供できなかった日本の芸能界の怠慢」などと乱暴にも結論づけた。
私の結論は、マーケットを開拓した韓国が偉かった、ということだったのであるが、韓流に詳しい友人によると、そういうことでもないらしい。これはビジネスモデルの優劣の問題ではなく、社会通念が大きく影響しているのだと彼女は言う。

例えば、

60代の女性がキムタクが大好きだからと言って彼の個人宅に押し掛け、ロケ先にまで追っかけて、握手会などで握手するフリをして抱きついちゃったり、グッズを買いまくり年間数百万も費やして、

となると、これはもう「常軌を逸したイタイおばさん」であり、家族や親戚、ご近所さんにまで白い目に見られ、日常生活にも支障をきたし果ては離婚、てなことになりかねない。間違いなく「後ろ指さされる」非常識な行為だとして糾弾されるに違いない。

ところが、

この対象が、韓流スターに向かった瞬間、この社会通念が突如適用されなくなるのだ。

韓流黎明期の当時、日韓関係はお世辞にも良いとは言えず、経済界も文化界も日本の方が一日の長があるような認識があった状況下で「日本女性達が韓国人俳優(や韓国文化)に傾倒する構図」をウェルカムする人たちが、韓国および日本の両方に多数存在したというのが実際のところだろう。(韓流スターの追っかけを)「やってもいい」というレベルから「ウェルカム」になり、それが「トレンド(流行)」にシフトした結果、「韓流ドラマにハマり、韓国語の歌を口ずさみ、韓国語を勉強し、グッズを購入し、イベントに参加するため韓国と日本を行き来して、韓国に外貨を落とす」というこの一連のプロセスがそのまま「ブーム」として認知され、「(韓流スターに関してのみ)そういうことをしてもいい」という社会通念が確立してしまい、その「お墨付き」を得た形で日本人が増大した、ということらしい。いくら追っかけをしても、「(趣味は)韓流なの」の一言で周りの理解を得られ、イタイおばさんどころか、一種トレンドの最先端を走る女性のような優越感すら感じてしまう。

この現象は、つまるところ日本の芸能界の怠慢、だとは言えないわな、やはり。

でもこの小さな小さなチャンスを、国全体で一気にウェルカムムードに持っていった韓国はすごいな、とは思う。そして周辺ビジネスにおいて、日本の経済界もこのブームに乗っかって煽動し続けた、ということなのだろう。

しかし。
どうしてもこのテーマを避けて通れないのは、
中高年の生き方(エネルギーの持って行き場)について、今後日本でも何らかのアイデアが必要なのではないかと常々感じていて、この韓流ブームというのが、そのヒントになり得るのではないか、そんなことを考えちゃったりするのである。

定年退職するのは何も男性だけではない。
仕事をやめて突如空虚感に襲われるのも男性だけではない。
男性と同じように仕事をし続けて、常に高いレベルで生きるエネルギーを保ち続けた女性達は、
そのエネルギーをどこに向ければいいのか。

子育ても終わり、時間もお金にも余裕がある。
将来の経済的な成功のために、自分を磨く必要もない。
目標もなく、あと数十年生きなければならない。

そんな時に、心を熱くさせる何かを得たオバサマ達は、
やっぱり、それは幸せなのではないかと思うのである。
そういう幸せな気持ちを多くの女性達に与え続けているのだとすれば、
それは、すごい、ことなのだと思ふ。

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