若者よ、今こそバックパックを背負い、あてのない一人旅に出よう

大学は、職業訓練所でもなければ、就職予備校でもない。

就職のために、将来を見据えてそれに備えるのは、もちろん素晴らしいことである。
休みともなれば、短期留学、インターンなどに参加する人たちもたくさん居るだろう。巷には、そんな充実したプログラムを提供して、キミの価値を上げてくれそうな、将来にプラスになる様な情報があふれている。何もしないよりは、いいに決っている。

でもよ。

仕事し始めたら、死ぬまでいくらでも仕事できるよ。

私なんて、あれほど憧れた会社員生活、しかも文系出身なのに見事に潜り込めた外資系コンピューターメーカーでシステムエンジニアという専門職につけて、希望ワクワク、胸ドキドキ、将来は管理職、ひいては独立して社長業、とその日を指折り数えていたけど、実際は、女工哀史を地で行く様な残業と休日出勤の日々が待っていただけだった。

インターネットなんてない時代。

留守番電話の着信もだんだんと減り、ついにはほとんどなくなった。折り返し電話できない私に、友情もあったもんじゃない。

こんな風にね。

働きたかったら、いくらでも働けるんだ。

その後、同じく外資系のベンチャーコンピューターメーカーに転職をして、かなり生活は改善されたが、長期間の休みなんてとれるわけもなく、である。

バブル世代の私達に比べて、今の若者達が置かれている状況は非常に厳しいということは分かる。その中で堅実に生きている人たちには本当に頭が下がる。就職できないかもしれないという恐怖感は、私達の時代の数十倍くらいではないかと思う。だから、就職活動を有利に運ぶために、一年生の時から色々と戦略を練り、実行に移さないといけない。4年間って思ったよりも短い。この前入学したと思ったらあっという間に3年生、就活の時、である。だから、これから私がここで書くことを読んでも

「けっ、それってバブル世代の貴女の時代なら、それで良かっただろうけど、あー羨ましい羨ましい」

で終わることになるんだろうな、と思うのだ。それでも私はあえて書きたい。

キミの大切な今を

二度とこない感受性の豊かなその今を

将来のための保険に使うな

将来は、将来で

その時その時に、一所懸命、自分で苦しみながら考えて、行動していけばいい。

働きたいなら、卒業してから必死で働けばいい。

でも、もうできないよ。目的もなくのんびりプラプラ世界を回るなんてこと。

チケットとれなくて、人民と一緒に長蛇の列に並んで過ごした一日も、

ガンガーの側で生暖かい風に吹かれて動けなくなった一時間も、

湖の上にボートを浮かべ、ぼーっと過ごしたポカラでの一週間も、

無駄と言うなら無駄だったのだろう、多分。

その時、海外に短期留学していた人の方が偉いと言うなら、それでもいい。

那智黒珈琲と私が個人的に名付けた当時の中国のだだ甘い粉っぽい珈琲の味は、私にとって中国の象徴の様でもあったが、日本に帰国する前日に上海で飲んだ和平飯店のブラック珈琲は、今でも人生最高にうまかったと思っている。私にとって特別な味なのである。

もう、そんなこと、できないんだよ。

みんな、就職できなかったらどうしようって、そればっかり思っていると思うんだ。そして就職できなかったら、負け犬かも、って。実際、周りにそう言われてるかもしれない。

でもね、人間の人生って

その時、その時に、一所懸命、自分で絵を描くしかない

って思うんだ。

経済や社会の情勢だけではなく、個人的な不可抗力だって、色々とあるんだ。

でもがんばって生きるしかない。かっこいい就職先が決まらなくても、まずお金を稼げるならいいと思うんだ。自分を雇ってくれる会社があるだけで有り難いと思うんだ。そして、こう思おう。キミの入った会社を、キミが世界一の会社にしてあげればいいんだ。

きっとそう考えられる様になると思う。

世界を見るとね。

超エリートの大学に語学留学したり、超カッコイイ会社にインターンに行ったりしたら、その道を外れた時にがっかりすると思うんだ。そして俺はこんなところに居るはずじゃない、とか思っちゃう。

でもね。

バックパック背負って、いいことも悪いことも自分一人で対応しなきゃいけなくて、それもちょっとずつ出来るようになって、もしかすると、俺、どの国に行ってもやっていけるかもしれない、ちょっとそんな不遜なことが脳裏をかすめたりもする様になる。

そしたらもう、怖いもんなんてないよ。

就職が決まらないくらいで、人生終わらないってことが分かるから。

世界には、そんな「皆がちゃんと家に住んで、三食きちんと食べて、車の免許もとって、パソコンと携帯電話はマストで」なんて想像すらできないような国が、まだまだ沢山あって、そういうところに、物理的に身を置いてみたら、きっと考え方が変わると思うんだ。

日本の人たちの悩みと、他の国の人たちの悩みは違う。

だけど、一つだけ共通するのは、みんな、自分の人生を生きなきゃいけないってこと。

言い訳している間に日は過ぎてしまうから、少しだけ考え方を変えて踏ん張ってみよう。

だから

就職したら、死ぬまで働けるよ、キミにその気があるなら。

でもたっぷりの時間はもうないし、世界を見ようっていう青臭い気持ちもなくなっていく。

目的なんてなくっていいんだよ。

だって人生そのものに目的ってないんだ。強いて言えば「生き抜く」だけかも。

だから、世界を見てこいよ。

でも、行くときは一人で行くんだ。

友達と一緒に行ったら、友達の顔と日本語だけが記憶に残る。嘘じゃないよ。

自分の皮膚の外はすぐに外界。

自分だけの「何か」を、掴んで帰って来るんだ。

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